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y-kamae1

夏は夜 線香花火とヒグラシ

もうすぐ8月が終わる。





家族全員コロナに罹患したとはいえ、今年の夏は何も無いまま終わろうとしている。


言い方を変えれば「平穏無事に夏を締めくくれる」ということなのだが、


夕方にヒグラシの声を聞くと、少しだけ切なくなる。





せめてもの夏の思い出に、と線香花火を買ってきた。


中学生になった息子はもう親と花火を楽しむ年齢ではないだろう。


夏の終わりを線香花火で一人締めくくるのも悪くない。





夕食後、自宅の小さな庭で線香花火に火を付けた。





艶やかに夜空を彩る打ち上げ花火もいいが


趣のある線香花火は夏の終わりによく似合う。





そういえば以前、テレビ番組で線香花火特集が放送されていたのを思い出した。


線香花火は燃え方の変化を植物の名前に例え、


「牡丹」「松葉」「柳」「ちり菊」と言うらしい。





この4つの段階は人生に見立てられるという。




牡丹は生まれたての瑞々しさ。


次第に勢いを増し、若さがほとばしるような松葉。


角がとれ、力強さと柔らかさを備えていく柳。


静かに散るように終焉を迎えるちり菊。





40代を迎えたわたしは柳。


少年から大人になろうとしている息子は松葉。


そして入退院を繰り返すようになった祖父は・・・。





幼い頃、線香花火は他の手持ち花火と比べ、ひどく地味で好きではなかった。


オトナになるにつれ、情緒を感じるようになり、


40代の今は線香花火で人生を振り返るようになった。





そしてこの先、年齢を重ねていくにつれ、また違った線香花火の見え方になるのだろう。


人生にもう一つ楽しみが増えた気がした。





楽しみといえば、前回のブログを高橋さんに盛大にイジられた。


次週はどうイジられるか楽しみだ。




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