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y-kamae1

雨と子ども、わたしと傘

近畿地方にも梅雨の時期がやって来た。


が、全然雨が降らない。


今年は空梅雨かな、なんて思っていたら朝から晩まで激しく降り続く日があった。


朝起きてカーテンを開けたら、もうそれだけで憂鬱な気分だ。





そんな日の夕方、学校帰りの小学生たちに目がとまった。


朝から降り続く雨は、下校時間になっても止む気配はなかった。



その男の子たちは、雨の中を傘も差さずに大いにはしゃいでいた。


全身で雨を浴び、うわーっと声を上げて走り回ったり、


手で雨を受け止めて友達にぶつけてみたり、と実に楽しそうだった。





そんな光景を目にすると、ふと子どもの頃の自分を想い出した。




そうだ、わたしも同じだった。




家に帰るまでに雨に濡れて、おまけによく泥まみれになっていた。


雨が体に当たる感触は楽しかったし、服が泥で汚れたって別に構わなかった。


道路だってあちこち水浸しで泥池や泥の川みたくなっていて、


それをしげしげと見つめたり、わざと入ってみたりとアトラクションそのものだった。





けれども母親はものすごく怒った。


やれ風邪をひいたらどうするとか、服が汚れて洗濯が大変とか、


どうして傘をさして濡れないように帰って来られないのか、と叱られてばかりだった。




なぜオトナは雨の楽しさがわからないのだろう、


どうしてオトナはこの特別な時間を楽しめないのだろう、といつも思っていた。






あれから十数年の時が経ち、知らぬ間にわたしもそんなオトナたちの仲間入りをしていた。


雨の中ではしゃぐ子どもたちを見て、今年は少しだけ梅雨を楽しんでみようかと思った。




そうだ、今度の週末には新しい傘を買いに行こう。



心が晴れる空色の傘がいい。



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