近畿地方にも梅雨の時期がやって来た。
が、全然雨が降らない。
今年は空梅雨かな、なんて思っていたら朝から晩まで激しく降り続く日があった。
朝起きてカーテンを開けたら、もうそれだけで憂鬱な気分だ。
そんな日の夕方、学校帰りの小学生たちに目がとまった。
朝から降り続く雨は、下校時間になっても止む気配はなかった。
その男の子たちは、雨の中を傘も差さずに大いにはしゃいでいた。
全身で雨を浴び、うわーっと声を上げて走り回ったり、
手で雨を受け止めて友達にぶつけてみたり、と実に楽しそうだった。
そんな光景を目にすると、ふと子どもの頃の自分を想い出した。
そうだ、わたしも同じだった。
家に帰るまでに雨に濡れて、おまけによく泥まみれになっていた。
雨が体に当たる感触は楽しかったし、服が泥で汚れたって別に構わなかった。
道路だってあちこち水浸しで泥池や泥の川みたくなっていて、
それをしげしげと見つめたり、わざと入ってみたりとアトラクションそのものだった。
けれども母親はものすごく怒った。
やれ風邪をひいたらどうするとか、服が汚れて洗濯が大変とか、
どうして傘をさして濡れないように帰って来られないのか、と叱られてばかりだった。
なぜオトナは雨の楽しさがわからないのだろう、
どうしてオトナはこの特別な時間を楽しめないのだろう、といつも思っていた。
あれから十数年の時が経ち、知らぬ間にわたしもそんなオトナたちの仲間入りをしていた。
雨の中ではしゃぐ子どもたちを見て、今年は少しだけ梅雨を楽しんでみようかと思った。
そうだ、今度の週末には新しい傘を買いに行こう。
心が晴れる空色の傘がいい。
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